先週まで行っていたヘロン島で、ダレンという自然写真専門のカメラマンに出逢った。今回彼は、オーストラリア観光局に依頼されて観光PR用の写真を撮りに来ていたのだけど、人があまり来ない島の辺境で俺たちがウミガメの産卵を見守っていたときに、彼もカメラを携えて後から合流したのだ。

母ガメが穴を掘る一時間以上のあいだ、殆ど無言で俺たちは過ごした。ざっ、ざっ、という音だけが、3人と1匹にとってこの世の全ての音楽であり、俺たちの耳はそのためだけに付いていた。その音は宇宙全体に響いていた。

幸福な時間を共有した人間はぐっと親密になる。俺とワイフとダレンの3人は、リゾートまでの海岸線を歓談して歩き、ひとりで来ていた彼とその後の5日間何度も会話した。彼は凄く良いヤツで、俺たちからだけじゃなく、リゾートの多くの人から愛されていた。

俺たちが二日早くリゾートを後にするその最終日、ビーチを散歩していると彼は見た事もないUFOのような形をした水中カメラを持ちながら海から上がってくる所だった。俺たちは、彼に今回の滞在で初めてのツーショット写真を依頼し、快く引き受けてくれた彼は「人物を取るのは得意じゃないんだよ。専門は自然写真だから」と言いながら撮ってくれた。

その後、バーで再会した時に連絡先を交換し、彼は加えて彼のウェブサイトのURLを教えてくれた。オーストラリアはナローバンドなので日本に帰ってきてから彼の写真を見てびっくり。ダレンは良いヤツだっただけじゃなく、美術品レベルの写真を撮る凄いヤツだった(芸術的作品群は此処)。

くそう。アフリカまで行ってやがる!!

それにしても世界というのはどれだけ沢山美しいところがありやがるんだ!オラ、わくわくしてきたぞ、この野郎!!何れ、彼の自宅のあるブリスベンを通過したときにでも、もう一度再会して飯でも食えたら幸せだと思う。