4th/Sep/2006 Highland-day6

kemurin012006-09-05


ハイランドの滞在記録の更新がかなり遅れてしまっている。しかしそれもある程度仕方のないことで、毎日200〜300㎞車をドライブしながらハイランド中を朝から夕暮れまで観光し、しかも英国時間で深夜から朝に掛けてオープンしている東京マーケットをも断続的にチェックしトレーディングしているのだから、どうしてもブログを更新する時間が限られてしまう。実はもう、12時間ほど前にパリに到着してしまっているのだけれど、今書いている分を含めあと2日分ハイランドの記録をアップしなければならない。精力的にあれこれとやるのもなかなか大変です。

ハイランド六日目となるこの日は、インヴァネスから100マイルほど南西に下ったフォート・ウイリアムの街を中心に観光した。フォート・ウイリアムのフォートとは砦を意味し、後半部分のウイリアムは世界史で有名なオレンジ公ウイリアムの名前に由来する。港町ではあるが近隣の山々が素晴らしくマウンテンリゾートの基地としても大変有名。

俺達はまず、旅行者に大人気のウエスト・ハイランド鉄道に乗った。ジャコバイト号という蒸気機関車が一日一往復フォート・ウイリアムからマレイグという小さな港町に向けて運行していて、通り過ぎる自然がとても美しいのだ。今日の写真は、道中一番の見所である世界で最も高さのある高架橋を通過する場面を、俺様が客車の窓からカメラを突き出して捉えた我ながらナイスショットな一枚だ。この場面に見覚えのある人も沢山いると思うが、この高架橋の場面は映画「ハリー・ポッター」で効果的に使われているあの場面だ。フォート・ウイリアムを10時20分に出発しマレイグに1時間半滞在し4時過ぎに帰ってくるのだけれど、二人で往復54ポンドという金銭的コストもそうであるが、ほぼ半日消費されるという時間的なコストを考えても、満足度に於いて充分に釣り合いが取れていると思う。

列車を降りたあと俺達は、フォート・ウイリアムをさらに30分ほど南下しグレン・コーという大峡谷を見に行った。ここは映画「ブレイブ・ハート」や「ハイランダーズ」の撮影現場になったところで、カナディアンロッキーと甲乙付けがたく思ってしまうほどの美しさだった。俺達は車を止めて峡谷の大草原の中に歩き出していったのだが、息を大きく吸い込めば、その吸い込んだ空気が俺達の体を瞬時に浄化してしまったかのような清浄感を得た。そして浄化した体からは同時に「こんなもの必要ないんだよ」と言わんばかりに言葉を奪っていった気がした。実際に俺達がその峡谷の中に胸を広げていた時間は恐らく「我々の世界における」1時間もなかったのだけれど、俺達にとってその瞬間は、疑いなく「時間のない世界」のなかにあった。