31st/Aug/2006 Highland-day2

kemurin012006-09-01


今日はついにスコッチウィスキーの聖地、スペイサイド地方に行った。毎週土曜日のFMラジオ番組「サントリー・サタデー・ウェイティング・バー アヴァンティ」を愛聴していた俺達にとって、此処は遠き憧れの地だった。向かった蒸留所は色々悩んだけれど、やっぱり「ど真ん中」のマッカランにした。

インヴァネスからだとルーティングは海岸線に沿ったA96号線で行く方が少し近いのかもしれないが、今日の俺達は午前中、内陸部に少し入った町アヴィモアで蒸気機関車に乗ったので、必然的に内陸部を走るA95でマッカランに向かった。95号線はスペイ川沿いに走る道で、俺達は上流から下流に向けて車を走らせた。川の流れは俺達の憧れのバイアスを十二分に吸収して美しく輝き、まるで遠き想い出の場所から時空を越えて辿り着いた俺達を祝福し、エスコートするかのように俺達の左側を俺達から少しだけ先行して流れていった。川と反対側、つまり右側を流れる景色は、うねるような丘陵が連続し、その上に薄く貼り付けられたベールが薄紫や百種類の緑に塗り替えられたりするだけで、景色は確かに変わるのだけれど音叉がずっと鳴り続けているかのように一定のトーンのなかにあり、その事が尚更、あの憧れていたあの頃と今との境界を曖昧な物にした。

マッカランの蒸留所はクレイゲラキCraigellachieという小さな町から少し外れた丘陵地にあった。2時35分にビジターセンターに到着した俺達は、1時間毎に行われるガイドツアーの2時半の回を僅かな時間で逃し、最終回の3時半まで1時間ほど待つことになった。スコッチ欠乏症になっていた俺達は兎に角早くスコッチが飲みたくて、「飲みながら待っていたいんだけどバーはないの?」とか聞いたり、ビジターセンター内のショップに沢山並べられたボトルを「これとグラスを買って今飲んじゃおうか」とか言いながらうずうずしていた。するとスコットランド人にしては珍しいくらいフレンドリーな受付の女の子が「待ち時間が長いからこの二つを飲み比べていて」といいながら2杯のマッカランをサービスしてくれた。なんて嬉しいんだこの野郎!と思いながらチョコレートのトリュフを買い求め、俺達はそれをつまみに楽しくやり始めた。めちゃめちゃ旨いぜこの野郎!程なくして授かり物のスコッチを飲み干し、調子に乗ってミニチュアボトルを何種類も買って飲み比べてたらあっという間に3時半になった。蒸留所内をガイドの女の子の硬質なブリティッシュイングリッシュとともに巡り、モルトの発酵過程とかぴかぴかに光っている銅製のポットスチルの熱気に驚きながら、模範的に1時間を過ごした。

帰りの車内でも俺達は充足感に包まれながら「俺達、今日はやったなぁ、ついにやっちゃったなぁ。この滞在中にあと一回はスペイサイドに来ようぜ」といいながら、満足しながらインヴァネスに帰ったとさ。おしまい。