13th/july/2006 NYC-day11

kemurin012006-07-14


人間万事塞翁が馬。誰もが知っているこの故事成語を俺は愛す。なぜならこれこそ、全ては「流れ」だと看破する俺様と同一地点から発せられたメッセージだからだ。

今日はニューヨークに来て最高の一日だった。しかし「流れ」のなかではそれが必要条件であるかの如く、最悪の気分からそれは始まる。朝起きてラップトップを立ち上げると、先日ウェブでバレンチノのバッグを買ったバーグドーフ・グッドマンからのメール。確か今日は配送予定日だから、その連絡なんだろうと思って見てみると、「unable」「apologize」「inconvenience」の文字が飛び込んでくる。発送の段になって、在庫切れでした、というのだ。マジか。いらだちにふるえながら何度読み返してみても「completely depleted」という文字は変わらない。実は先日のエントリにはいちいち書かなかったが、発送先であるニューヨークとクレジットカードの登録住所が違っているから、日本の住所を教えて欲しい、という連絡があり、電話をかけて伝達後、「じゃあ、明後日には送りますから」という顛末があったのだ。それにも関わらず、このくされメール。Eコマースで先行するアメリカとは言っても、所詮アメリカ人の信頼度ってこんなもん。「しっかり在庫ぐらい把握してやがれ。まじがっかりしたよ」とメールを返信し、出来ることと言えばそれしかないのでマディソンアベニューのヴァレンチノブティックまで出かけることにした。例のビル爆発が一段落して今日なら開いている。昼前にブティックに着くと、俺様は一人の男を探した。此処のチーフは、友人に限りなく近い知人のロバートなのだ。程なくして彼が通りかかり、彼が気づく。覚えてる?当たり前よ、の挨拶を交わし(ちなみに彼は99.99パーセントの確率でゲイで、100パーセントの確率で黒人だ。そして95パーセントの確率で頭が良くて察しが良い)、夏物のバッグはあるかな、と聞くと、倉庫にあるから全部持ってくる、と相変わらず話が早い。15個のバッグを両手に抱え、全部フィフティパーセントオフだから、と言いながらどっさりと置く。あと少しあるから待ってて、と彼が言って立ち去った後に、俺様はその中から一つ良いものを見つけた(前日のエントリ内にある写真参照。ちなみに図柄はプリントではなく全部刺繍)。「ああ、取りあえず一個良いものがあった。ほんとに良かった」とほっとする。ついでだからもう一つ欲しいな、と思って選んでいると、ロバートが追加で3個持ってきた。そしてすぐにいなくなり、「これが最後の1個」といって持ってきたヤツが、あのバーグドーフグッドマンでキャンセルされた、ストローバッグだったのだ。なんという偶然。なんというドラマチックさ(今日の写真参照。こちらは微妙な色合いが出なかったので、バーグドーフの写真を使った)。俺様は一厘の迷いもなくその二つを取り上げて、「この二つをもらっていく」とロバートに渡した。その後、メンズのコーナーでも俺様に着られるべきイタリアンジゴロ的な水色のサマースーツを見つけ、テーラーを呼んでお直しを頼んで今日はフィニッシュ。ロバートに礼を言って握手して退店。その後、ちらっとアルマーニをチェックして、Soba NIPPONでロブスター天ザルを食べてお家に帰還。とにかく最高の結末に収束したのであった。株の方も、原油株のロングを仕掛けておいたので、寄りつきで手じまってスマッシュヒット。最高の一日に花を添えたのであった。お仕舞い。

逆風の時には連続性の中での一時性と必然性を意識し、順風の時には瞬間のこの喜びを心から愛す。これ最強。