★アレクサンドラ・アンサネッリと吉田都というふたつの輝き★

このBLOGの読者の中でバレエに関心のある人はおそらく少数だろうとは思うけど、そこは個人のBLOGの良いところで自分の好きなことを書かせて貰う。つうか、興味のない人も、海外の一流バレエを見たり、アマゾンでDVDを購入して見たりすれば、かなりの人が「どうしてもっと早く見なかったんだろう」と目から鱗状態になると思うのだけど。
 
ちなみに、アマゾンのDVDカテゴリーで「バレエ」と検索すると150件がヒットすることが分かり、いま少しほくほくしているのだが、仮に初めて見る一枚としてお勧めするのなら、意外に思われるかも知れないが、英国ロイヤルバレエのプリンシパル吉田都が後半のプリマ「こんぺいとうの精」を務める「くるみ割り人形」だろうか(詳細は下)。ニューヨークで売られているものとは、開催劇場が違うようだが(このバージョンはバーミンガム・ヒポドローム劇場、ニューヨークで売られているのは英国・コヴェントガーデン劇場)、演出は同じだし、ニューヨークバージョンを見る限り、彼女なら間違いなく踊っているはずだと確信が持てる。とにかく彼女は、手の動きが信じられないほど美しいのだ。興味が少しでもある人は、ぜひ買ってみて欲しい。演目や演出のドラマチックさも、チャイコフスキー作曲の珠玉の音楽の数々も、ただただ溜息が出る。
 
それと、最近ニューヨーク・シティ・バレエ(NYCB)を週二回のペースで見に行っているのだが、そこで他とは一線を画す輝きを見つけた。彼女の名はアレクサンドラ・アンサネッリ(Alexandra Ansanelli)と言って、2003年にプリンシパルになったばかりの24歳。バレエを始めたのは遅く、10歳までは女子サッカー選手だったという特殊な経歴を持つ。当該バレエ団では最も新しいプリンシパルダンサーだが、男女合わせて21人のプリンシパルを擁すNYCBの中でも別格の輝きを放っており、彼女が主役を務めるプログラムが一番多いのではないだろうか。その存在感とバランス、線の美しさは他を圧倒している。彼女は、まだこれから、と言う年齢にもかかわらず、原因不明の傷害に見舞われており、近い将来バレエダンサーとしての生涯を閉じなければならない、とプログラムに書いてあった。信じられない、とか、そんな馬鹿な、などという下らないことを言っていないで、ニューヨークに滞在中は、一度でも多く彼女が放つ瞬きを浴びておこうと考えている。

 

くるみ割り人形*バレエ音楽