★わたしたちが最も避けなければならないもの

ひとつしたのエントリーの後半部分は、対象となったけん大佐にとって辛辣に過ぎるものであっただろうと推察する。わたしとしても、数日前から下書きは出来上がっていたのだが、投稿するのをずっとためらっていた。そこまでしなくても良いだろう、と。

それでも投稿することを選んだのは、わたしたちの目の前にいつもあり、恐ろしく甘美な誘惑をたたえながらわたしたちを待っている「自己欺瞞」の罠に、一石を投じたかったのだ。

わたしたちが最も避けるべきことは何だろう。人をむやみに傷つけないようにすることや、他人の命そのものである時間を不用意に奪わないことや、そもそも自分の生命を無駄遣いしないことなどいろいろあるだろう。しかしながらわたしは、それらをさしおいても「自分自身をごまかすこと」がもっとも避けられなければいけないことだと思う。他人につく嘘なら開き直ることができるし、自己防衛のために時としてそれは肯定されるだろう。しかし自分に対するごまかしの一切は、だれもがそれを深層で嘘だと気付いている。そしてそれを源泉として、視界が歪み、時間の経過と共に蓄積するストレスの増大が、他人や自分に対するさまざまな弊害を生んでいく、というのがわたしの考えだ。

では、けん大佐が他人に対して攻撃的か、というとさほどでもない。しかしわたしは、各所において、自己欺瞞と、そこから来る視界の歪みの片鱗が見えたような気がした。そこにストレスの種子を見た。初めて気になってから時間が経つにつれ、それが次第に看過できなくなってきて、前回の区切りのエントリーに際して、「自分をごまかしてやいませんか」というわたしなりの疑問を彼にぶつけてみたくなったのだ。

いまでは、少しやりすぎたような気もしている。しかし、彼が自分は自分をごまかしていない、状況を全て受け入れている、というのなら何を言われても「アホか」で済ますことができるだろうし、例え短くても反論のトラックバックをしてこればいい。「気を許していた相手」からの突然水を掛けられてきっと驚いているだろうが、時間がどれだけ掛かっても良いから、彼が何らかの「アホかエントリー」を返してくることを、俺は待っている。