●俺様のNY行動記録 at 29th/Nov.

ロックフェラーセンターで恒例に行われるクリスマスツリーの点灯式を明日に控え、ニューヨークの街は急速に冬の彩りを濃くしている。俺様は、サンクスギビンクの為に4日間も休みになりやがったもんだから、リズムが狂って語学学校に50分ほど遅刻する。授業中、となりに座っていた例のイタリア人の若き夫婦と、グループワークの時間を最大限に有効活用し、与えられた課題を全くそっちのけにしてイタリア周辺のリゾートの話題で大いに盛り上がる。カプリとコモとコートダジュールの魅力についての意見交換。彼女の方はニースにアパルトマンを所有していて毎年夏にはそこで過ごすという。金に余裕のあるこういう人達の話は、いつも経験に裏打ちされていて当然興味深く信頼に足るものだ。俺様的短期計画では来年の初夏にはコモに滞在しようと思っていたが、あのローマ人達のとろけっぷりからしてカプリの方が良いかも知れないな、という有能投資家ならではの勘が鋭く反応する。結局ランボルギーニフェラーリの魅力についての話も交え、休み時間も含めたっぷり30分近く話してしまった。

授業後のランチはいつものように日本人を中心とした女の子ばかりのグループと近くのデリの二階で軽めに取る。ほとんどの男達がそうであるように、女性達からの食事の誘いに説得力のある断りの理由を持たない俺様は、かれこれ10日ほどこんな状態を続けているのだが、さすがに最近は退屈さを誤魔化せなくなってきた。彼女たちの多くは本質的な意味でアメリカ以外の外国を知らないし、かといって日本においてさして特殊な経験を積み重ねてきたわけでもなんでもない。俺様を更新してくれる情報を彼女たちは全くと言っていいほど持っていない。だからもちろん、俺様の希有なる体験談を本質的に理解することなど今の彼女たちにはできるはずがないという現実が話していてもちらちらする。情報の伝達というものは双方向性においてのみ成り立つのだ、という普遍性を今更ながらに確認して少し嫌になる。

トレードの方は相変わらず順調だ。勝ち続ける人間というものは、多くの者がそれぞれの必殺技(大げさだな)を持っているように、俺様も誰にも明かさないそれを見つけてから精神的にもずいぶん健康的になった。当たり前のことだが、トレードをしながら毎度興奮しているような奴は明らかに三流だ。昔誰かが、「空売りはアートだ」言っていたが、俺はこの言葉がとても好きだ。アートを志す者が作品の製作中に興奮しているなどという話はあまり聞いたことがない。静かな興奮を得るのは、作品が完成した時の一瞬だけだ。

夜食は例のように「そば日本」で芋焼酎の水割り二杯と共にいただいた。前場早々に空売り玉の利食いをすませ、場中に食べに行く食事というのは、いつもより少しだけ美味しいような気がする。カウンターの隣に空席ひとつ空けて座った、俺と同じく一人で来ていた40歳ほどの日本人は、たぶん役所広司クラスの有名な俳優であるはずなのだが、結局最後まで誰なのか思い出せなかった。記憶力が曖昧なのも、今日の行動記録がどこか北野ブルーな感じなのも、きっと集中して書いた昨日のエントリーのせいで、少し疲労しているからだと俺は感じている。



>教授さん

ただね、私の個人的な感情なのですが、「俺様行動日記」は毎回すごく楽しみにしていて、読んでいて楽しいのですが、この「見性」関係の話になると、けむりんさんの文章は哲学書を彷彿とさせる。「国家」のソクラテスの態度とよく似ている・・・だから本音はあんまり好きじゃない。

いや、「さして肝要でもない部分に強く反応されているような気がする。」というのは、見性関連のエントリーに対するレスに限定しての話なので、特に教授さんあてに書いたものではありません。基本的に、読みたいエントリーだけ読んで、好きなものだけに反応してもらえばわたしとしては充分です。もちろん、わたしのほうも、読者の反応は見ながらも、基本的に書きたいことを書かせてもらう。お互いにそういうスタンスで問題ないんじゃないでしょうか。現時点において、多くの読者が日本に住んでいる日本人、書いているわたしが現在ニューヨーク、という構造になっていますので、個人的にはバンクーバーに滞在中の教授さんからの書き込みは別の彩りが加えられるようで少し嬉しく感じています。

*これ以外のコメントに対するレスはまた後日ということでお願いします。エネルギーの充填が必要っす。