kemurin012006-05-11

改めまして、帰ってきましたこの野郎!!

今さらながらさりながら、ロッキーはよかった。最高だった。バンフもレイクルイーズもアイスフィールドパークウェイもボウバレーパークウェイもリスも鹿もエルクもキツツキもみんな最高だった。

女は元々男より自然との融合を肌で感じているものだとワイフは言っていたが、男はやっぱあれだね、30を越えて体力がハッキリと下り坂にさしかかったんだと気づいて心底ガックリ来たときに初めて、自然や世界との親和性を急速に高めるのだと知ったよ。

いや、人によっては俺よりももっと敏感な人がいて、若くして自然に傾倒してしまう人も沢山いるだろうけど、俺としてはほら、社会と自然との相反するアンビバレンツな所が結構重要だと思うわけで、反動というか、一旦自然などその存在を忘れてしまうほどドロドロな社会の中に沈降してから後の自然こそ、闇の中の光のように、明確な愛情と救済が凛と輝くと感じたりするのだ。俺様一流の確信である、自然と非自然とのヤジロベエ的安定均衡というヤツだね。まぁそれに、そういう高尚な真理とは別に、あまりにも早くして自然に傾倒してしまうと、その殆どの人が社会的な事は疎かになってしまって当然の帰結として財をなす事はできないから、30代も半ばにしてある程度の財をなしてから、というのは復次的に望ましいプロセスだと思うのだ。

写真にもあるように、今回の大きな体験、というか転機は、登山に出逢えた事だ。俺様は今回のカナディアンロッキーが初めての登山だった。ある日本の作家が初めてのテニス体験がパリのブローニュの森にあるローラン・ギャロスだったことを例えて「まるで生まれて初めての相手がシャロン・ストーンだったようにラッキーだった」と言っていたけど、俺様の場合も当にそんな感じ。生まれて初めてのトレイルはカスケードマウンテンの東壁に続くCレベルサークだった。標高差440メートル、標高1480メートルから1920メートルに向けて二時間ちょっとで登り、1時間ちょっとで降りた。トレイルの終着付近ではお湯を沸かしてチキンラーメンを食べながら、更に上方にブルーグレイに輝くカスケードマウンテンの東壁に憧れ、爆音を響かせながら巻き起こる雪崩を彼方に見上げた。その後も、リムロックホテルからスプリングスホテルまで続く森の中のトレイルを三、四回往復したし、最終日付近にはトンネルマウンテンにも登った(写真はその時のもの)。先の事は分からないが、今回の旅は俺様にとって大きなプリズムになったと思う。行く先が変わり、その先が七色に彩られているという意味において。七年前の禅的世界の開扉によって死への恐怖は殆ど過去の物となった。しかし今に至って、その静謐さを帯びたモノクロ的とも言える世界の様相が、より融合的且つ光彩的になって来ているのを、俺様は強く感じる。