マンダリンオリエンタル東京の初日に宿泊してきた

地上階にエントランスがあって専用エレベーターで一気に高層階のレセプションまで駆け上がるというスタイルは、ニューヨークのマンダリンオリエンタルとほぼ同じスタイル。今回は西側眺望のマンダリンデラックスルームを選んだのだけど、なるほどなぁという作りで50㎡の室内としては世界の一流ホテルと比べても秀逸だった。食事は朝食とランチを頂いただけだったが、どれもアイディアに新鮮さが溢れ、味もまた上質であった。企画段階において物凄く考え込まれた、驚きのホテルだと思う。


しかし殆ど全てのセクションにおいて、サービスは驚くほどボロボロだった。あらゆる局面において俺たちは徹底的に待たされた。全ての従業員は、慌て焦り恐怖していた。そのたびに俺たちゲストは、緊張し落胆し徒労感に縛られた。決定的な準備不足。ベルキャプテンはホテルの中を迷い、そのおかげで俺たちはコンパスを失ったはぐれメタルのように彷徨わされ、レストランのチェック時には、二回が二回とも伝票の横のあるべき場所にボールペンが失われていた。気づき、イライラさせられた回数はわずか24時間の滞在で28回程度に上ると思う。


俺様はアメックスのプラチナデスクを通して予約したから、一般よりも4000円ほどディスカウントされていて、その上、朝食と二人で8000円分の昼食代、さらには16時までのレイトチェックアウトが付加されていたものだから、仮にもう少しまともなサービスだったら充分選択肢上のホテルなのだが、少なくとも半年は近づく気になれないというのが率直な感想だ。


ところで当日は金曜日だったこともあり、仕事が終わった後、売りまくれさんがホテルに会いに来てくれた。2ちゃんねる空売りスレで知り合った彼とは、一年程前、俺様がミッドタウンに住んでいた頃ニューヨークで初めて逢って以来、今回は二回目だった。二時間あまりだったがとても楽しい時間を過ごした。人が出逢い、そして再会する。多くの人の日常の中では当たり前のことと錯誤されているそのクロスライン。一期一会という覚悟を誰一人持ち合わせていない奇妙なそのホテルの中でそれが行われたことに、混沌と整然という世界の二律背反的構造が映りこんだ気がした。