●NY行動記録 at 1st〜5th/JAN.

ニューヨークは現在1/6の午前5時過ぎ。変な時間に起きたことを利用して年始からの行動記録をさらっとまとめておこう。
 
【1st/JAN.】
前日のタイムズスクエア・カウントダウンパーティの余韻を楽しみながら、一日中なにもせずごろごろして過ごす。寝正月、あまりに寝正月。
 
【2nd/JAN.】
三時からブロードウエイの新作ミュージカル「ドラキュラ」を見に行く。いかにも新年早々観るに相応しいタイトルだということで見に行ったのだが、想定を越えて、ファンタスティックの一言だった。あれこそエンターティメントだと思う。つうか、【PG13】とはいえ血を吐いたり性的興奮で観客を一体にするのってブロードウエイでも有りなんですか。 
 充分に観劇を楽しんだ後、ニューヨーク1予約の難しいマフィア御用達のステーキハウス「Peter Luger」へ繰り出す。一週間前にも行ったのだが当然美味いだろうから、ということで予め二回分の予約を取ってあったのだ。ボスニア・ヘルツェゴビナ出身のダニーにボスニア語で美味いというのは「フラウア」と言うのだと教えて貰いながら満たされた時間を過ごす。なんだか常に楽しい時間を過ごしているような気がするのだが、それらの半分は食事からなのではないかと思ったりもするほど美味いものばかり食べているような気がする。このステーキハウスでは専用ソースも用意されるのだけど、単純に塩だけで食べた方がずっと美味いと思う。
 
【3rd/JAN.】
マンハッタンを主要なテリトリーとする友人の不動産業者N氏のエスコートで2ヶ月前に見に行った「トランプ・ワールド・タワー」をもう一度見学に行く。前回は俺様とN氏だけだったのだが、今回はワイフにも見せるためだ。ここはヤンキース松井秀喜やディレク・ジータが住むおそらくマンハッタンでもっとも俺様が満足できるアパートメントの一つだが、アパルトマンを買うなら当然パリからといっていたアメリカ嫌いの彼女が「ニューヨークからでも良いかも」というほど、部屋の上質さとナイトビューの素晴らしさには目を瞠る。そのうち買ってやろうと心に決める。楽しく将来をイメージしたら7時前になっていたのでそのまま三人で寿司を食べに行く。俺のお気に入りの「すし田」だ。外見はオバQであるにもかかわらず相変わらずの良い腕前を持った店長の配慮の行き届いた繊細なサービスに楽しい一時を過ごす。こういう寿司屋があるからニューヨークはアパートメントを持つに値する街だと思う。
 
【4th/JAN.】
昼夜逆転状態になってしまっていたことから夕方まで部屋で寝て過ごす。晩飯は32丁目のコリアンタウンにある「カンミオク」でビビンバセットを食べる。ここのビビンバはソウルでも食べられないくらいの絶品だと思う。ふんわり軽いのだ。サービスの大盛りキムチとカクテキもこれまた美味い。付属のパイタンスープにテーブル横のきざみネギを入れて塩でほどよく味付けすればほぼ完璧なコースのできあがりだ。ふたり分でチップ込み26ドルちょい。かなりリーズナブルだと思う。タクシーに飛び乗り46丁目ブロードウエイのシアターに向かう。 「Beauty and the beast」を観るためだ。俺様は一年半ぶり二回目であったが「ええ話やなぁ」と感動する。目の前に10人程度の大家族で来ていたコロンビアあたりから来たとおぼしきマフィア然とした当家当主の強面のおっちゃんが、もう終わってみんなが退出し始めているのにまだティッシュで鼻をかむほど感動しておいおい泣いていたのが面白かった。
 
【5th/JAN.】
昼飯はデリ。4〜5ヶ月ぶりの衝突的意見交換を昼過ぎから1時間半程度交わした後ふたりともわりとすっきりして夫婦揃ってお買い物。雪のちらつくなか五番街&マディソンave.あたりを歩く。一通りブティック巡りした後お気に入りのデパート「BERGDORF GOODMAN」で年末に買っておいたジョルジオ・アルマーニのロングコートとジャケットをピックアップする。夜飯にはトンカツを食べようと47丁目5thのトンカツ屋に向かう。雪が降っていたし歩くのが面倒になっていたので57丁目からたった10ブロック(歩いて10分)の距離をタクシーで行く。これがニューヨークスタイル。「かつ濱」では「トンカツ・えびフライ・蟹クリームコロッケセット」をキリン一番搾りと共に食す。ふたり分チップ込みで50ドル。その後一旦アパートメントに戻って二時間弱休憩した後、タイムズスクエアのジャズクラブ「Bird Land」に行く。普段クラシックしか聴かない俺様であるが、せっかくニューヨークに滞在しているのだから一度くらいは有名店を体験しておこうという物凄くうっすらとした期待しか持たずに行ったのだが、これが意外に楽しめた。Jack DeJohnetteというドラムのおっちゃんを中心にしたカルテットだったのだが、ジャズとしてはおそらく水準がかなり高いであろう演奏と、悪くない店の雰囲気とほぼ最高のテーブル位置だったからだろうけど、なかなかジャズも楽しめるのだなと思った。目の前の若きカップルがチェックの時に彼の唯一のクレジットカードがデクラインされて、キャッシュもろくに持っていないことから彼女が変わりに支払うという小さな青春ドラマに遭遇する。ふたりの見るに堪えるルックスと、せめて有り金だけは払おうとして無言で突き出すもののこれまた無言で彼女に優しく突き返されるというあたりがいかにも映画的だった。チェックの後足早に立ち去る彼の悲しそうな顔と、遅れまいと彼の後を追う彼女の右腕の形と動きが印象的で美しかった。