★切込隊長はなぜ狂ったようにあれほど書くのか

物凄く単純な事なのだが、当該BLOGのレスを見る限り意外なほど認知されていないようだからここで明らかにしておこう。資産総額数百億といわれている彼がいまさら金儲けの為でない事は自明。というか物書き業などというものは歴史的に見てもそれが暇つぶし用の物語でなく何事かを伝えようとするものである限り儲からないことになっている。ドストエフスキィしかり。ではなぜか。答えは簡単、われわれの人生が有限かつ宇宙的規模で見ればお世辞にも長いと言えないからだ。

有限さをはっきりと自覚するとき、時としてわれわれの視界が劇的に変化するときがある。そのとき人はこの世界がネットワークの総和である事を知る。形あるものもなきものも、そう言う二元論を越えて相関しているものに過ぎない事を知るのだ。

さすれば後は簡単。われわれの命が有限などと嘆くにはあたらない事に気づく。ネットワークを介した影響の連鎖による永遠の命。ただ、「自分」などという明確な輪郭など本当はあり得ないのだけれど、それでも自分が生理的に生きていたことだけは少しでも確からしくしておきたい、そしてできる限り多くの影響力を宇宙に与えておきたい、生きているうちに。

彼の文体は多くの場合において過剰に装飾的に見えるけれども、よく読み込んでみればそこに、ある種の誠実さ、もっと言えば不退転の覚悟が透けて見える、というと彼は怒るだろうか。

いずれにしても切込隊長は、爆発的に書き続ける事によって、それを読むわれわれに、自分自身の生命を、忍び込ませようとしているのだ。