売り方が落とすべき本丸は米国住宅市場

先週の下落局面では、「株価にとってのマイナス材料を書きすぎると相場判断を狂わせる」と思って敢えて書かなかったのだけど、リバウンドしている今ならタイミングとしては悪くないので記録に留めるために書いておく。

アメリカのスタグフレーション懸念において、最も恐れられなければならないのは、膨らみきったアメリカの住宅バブルへの引火だろう。俺様はここ半年くらいずっとこのことを頭の片隅に置いていて、たまたまニューヨークの友人が不動産関係である事から、連絡を取るたびに不動産相場の近況を聞いていた。職業アナリストのように数値化してグラフにしていたわけではないが、何らかの雰囲気なり兆候を感じ取りたかったからだ。

もちろん、だからといってバブルの崩壊のタイミングをピンポイントであてる事などさしもの俺様も出来るわけがない(出来たら神だw)。しかし警戒は出来るはずだ、もしかしたらその精神的準備が被害を最小限に抑える一助になるかも知れない、と思って今まで労を取ってきた。

ご存じのように、アメリカ経済というのは元来が保守的な農民である日本人では想像も出来ないほどの「超消費性向」によって高回転している。住宅ローンは将来の住宅の値上がり分まで見込んで融資しているし、実際にバブルに乗って住宅価格が上がればその増加した担保価値分さえも抵当に入れて日常の消費に回す。この状況下に於いて住宅価格の上昇が止まったら、さらには下落に転じたら一体どうなるのか、というのが近年全ての投資市場の底流で常に意識されてきた深い懸念であり、中長期的にダウとナスダックの上値が重い理由も其処にある。

昨日のニューヨークは当に住宅市場の減速を敏感に嫌気して下げた。日本の殆どの個人投資家の頭にはこのシナリオが入っていないように思われる。しかし何時起こるか分からない住宅バブルの崩壊からの連鎖的リセッション(あるいは恐慌突入)は、もしかしたらそう遠くないのではないか、という気もする。マーケットにネガティブな事ばかり考えてニュートラルな視点を失っては元も子もないが、これが実現すれば売り方にとって面白い事になるなと思う俺様であった。

ちなみに今晩は重要指標である5月の米住宅着工件数が発表される。まぁこのエントリーはあくまで洒落だから、気軽な感じでその指標に注目してくれれば良いと思う。